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バスタブ銀河特急

お風呂に入るのが大好きだ。

 

温泉や銭湯などの大衆浴場も好きだが一番好きなのは自宅の風呂だ。

家風呂だと、スマホを持ち込んでネット記事もみれるし、音楽も聞けるし、読書もできるのが良い。

お風呂場の電気を消して暗くして、ヒーリングミュージックをかけてボーッと湯船に浸かるのが最近のお気に入りの入り方だ。

(前はアロマキャンドルを炊いて入ったりもしたが、用意するのが億劫でやめた。)

 

蛇腹状の風呂蓋を体が入るくらいまであけて、湯船に入る。

 

「本日は、銀河エクスプレスにご乗車頂き誠に有難うございます。この列車は蠍座ステーションを通過した後、白鳥座ステーションに到着します。」

 

不意に、口からこんな独り言がでた。

 

昔からごっこ遊びが好きだったので、幼心を思い出し「ここは銀河特急の座席だ」と思い込み、そのまま湯船に浸かった。

 

目を瞑る。

眩い銀河が広がっている。

流れ星が、車窓から見える。まるで銀河特急の乗車客に手を振るようにキラキラと星が降っている。

 

あの赤く光っている星はなんて名前だろう。

大きな宇宙飛行船とすれ違った!あの船はどこへいくのだろう?

 

「間もなく蠍座ステーション、蠍座ステーション」

 

のぼせそうになったので、今日は蠍座ステーションで降車。

 

いつも、何でもいいから文字を追って情報を得なければと思って、お風呂に入る時でさえ手当り次第に文字を頭に流し込んでいた。

何か読まなきゃ、自分が空っぽな人間だと突きつけられているようで。

空っぽにならないように、そんな気持ちで読むのでちっとも体が休まらない。

スマホを持ち込まずに湯船に浸かっているときは

(お風呂から上がったら、スキンケアして、マスクして、ボディクリーム塗ってマッサージして、髪を乾かして…)

などとお風呂から上がったあとの予定を忙しなく考えている。

 

今日は、全部、放棄できた。

 

何も考えなくていい時間が24時間の中にあっていいんだ。

大人になっても空想の世界に浸かってもいいんだよ、と優しく言ってもらえた気がした。

 

明日も自宅のバスタブから銀河特急に乗車しよう。